さっぽろ青年ユニオンと、トランスコスモス社は6月23日に第一回団体交渉を行う予定です。以下の点を問いただします。札幌のトランスコスモスで働いている方、ぜひユニオンに声を寄せてください!ご支援をお願いいたします。
さっぽろ青年ユニオン メール ✉①「『3密』環境改善・感染症対策の徹底」について
我々が要求書を提出してから、会社は急ピッチで当該事業所の感染症対策を進めているようです。
6月からは、換気(窓の開閉は出来ない)の回数を一日2回から4回に増やす、ビニールシートの仕切りを設置している、サーキュレータ21台と空気清浄機4台を設置したとの事。しかし「1人1席の確保は現実的に不可能」なので、毎日の消毒と「増床」で対応するとの回答が。窓を開けての換気が出来ない職場で、数十人が集まる密集状況を改善するために、なぜ「増床」するのでしょうか。「減らす」ならまだしも、なぜ増やすのでしょうか。全く理解できない回答でした。団体交渉の場で説明を求めたいと思います。
そして多くのコールセンター職場では、事業所に入る際に私物や貴重品を入れる「ビニールバッグ」がお馴染みなのですが、これについては「6月9日に、個人配布を実施いたします。」との回答。「ビニールバッグが共有」ということ自体、他のコールセンター職場で働く組合員にとっては驚きの事実だったようです。ましてや新型コロナウイルスが札幌を中心に猛威をふるっていた3月~5月の時期に、個人配布が無かったというのは驚きです。「事業所において従業員の命と安全を守る」という雇用主の基本的な責務について、トランスコスモス社がどのように考えているのか、うかがい知ることができるエピソードです。
また、熱中症対策として大型冷風機の導入や、希望者へのフェイスシールド配布、サーモグラフィー導入など、6月に入って対応した(する予定の)ことなども回答されています。今後の対策は重要です。しかし、こうした措置を最も必要とした3月~5月の感染リスクの高い時期には、これらは揃っていませんでした。後述するように、そのような状況下で職場へ出勤しなければならなかった従業員のことは、トランスコスモス社では全くと言っていいほど考慮されていないようです
②全面的な休業補償
ユニオンは要求書に「2月27日~6月30日までの休業については10割の休業補償を実施するよう、会社独自の有給休暇制度を拡充・改善してください。」と書きました。「10割」と書くと、「え?それは求めすぎじゃ?」と思う方も、もしかしたらいるかもしれません。しかし国は、新型コロナウイルスの影響で臨時休校となった小学校等に通う子どもの保護者など出勤できない労働者の生活保障を図るため、「小学校休業等対応助成金」という制度を作りました。休業中も、年次有給休暇とは別に独自の有給制度を会社が作り、賃金の10割を支払えば、国から10割全ての助成を会社が受けられるという制度で、助成を受ける前に支払い義務があるとはいえ、最終的に会社には一円の損もありません。しかしトランスコスモス社は現在、上限日数が定められた制度ではないにもかかわらず、「月5日まで」と有休日数を独自に制限しています。
ユニオンが求めているのは、この助成金制度を全面的に活用した、日数制限のない10割の休業補償です。この要求に対するトランスコスモス社の回答は、「弊社としましては、現行の『特別体暇5日/月と一部労働免除(50%)』は合理的な対応と判断しており、ご要望の体業補償を行う予定はございません。」というものでした。
休業要請による経営縮小などで、賃金補償に先立つ元手の無い小さな会社なら話は分かります。しかし、「コロナ禍」の下でも営業を縮小することもなかった、業界トップランナーの大企業であるトランスコスモス社が、国の助成金制度を活用し、臨時休校等で仕事に行くことが出来なくなった自社の従業員の賃金補償を拒むとは、まったく合理性に欠いた対応で、到底納得できるものではありません。
トランスコスモス社は、自社のホームページ上に「育児中のスタッフが多数活躍」「お子さんがいても安心!」と大きく宣伝していますが(https://www.trans-cosmos.co.jp/hokkaido/)、実際には国の助成金制度の全面的な活用を渋り、子どものいる従業員の生計に大きな悪影響を及ぼしています。今回団体交渉を申し入れた組合員は「会社は『休まれて人が減ったら業務縮小になる。休む人と働く人がいるのは不公平だ。だから助成金は使わない。』としているが、休む人は好きで休むわけではない。出られない時(小学校等の休校で子の預け先がないなど)は、どうしたって出られない。そういう人がたくさんいる。だから国は「小学校休業等対応助成金」を作ったのではないか?制度が作られた意味を考えれば使わないという選択肢はありえないし、保護者の収入を守る為の制度を、会社の勝手な都合で使わせないのは間違っている。権利を奪うな。」と話しています。全くその通りです。
③出勤者への危険手当25%支払い
感染が拡大していた3月~5月、窓を開けられない高層階のフロアに大人数が集まりオペレーター業務を行うことは、消毒等の対策を講じたとしてもなお、感染のリスクを伴いました。
そこで、ユニオンは出勤者に対しても、「危険手当」として通常時給に25%の割増をして賃金を支払ってください、と要求しました。会社の回答は、「出来る限りの対応を実施しており、今後においても、危険手当の支払いではなく、職場環境のさらなる改善と感染予防対策による社員の安全確保に最大限つとめる対応を行ってまいります。」というものでした。
これには、当の出勤していた従業員からも、不満の声が爆発しています。通常通り出勤するのが当たり前のような会社の態度に「手当とかもらえるならほしいくらいだ」「仮に手当じゃなくとも、出勤していることに感謝の1つもないのか」「こんな3密で、目の前のデパートや雪まつり会場で感染者が出たのになんの対策もない」「子供が小さい人なんて、有給5日でどんな生活しろっていうんだろうね」…。重ね重ね、その通りです。
対象期間中であれば、上限日数を定めない休業補償の仕組みを国が作っても、それを使い渋る企業はトランスコスモス社だけではありません。日本郵政は、臨時休校となった子供の世話で仕事を休むグループ社員に対し、当初「年次有給休暇を使い切った場合に限り、国が助成する特別有給休暇の活用を求めていました。特別休暇の取得に制限を設けていた理由について、日本郵政は「労働集約型の職場が多く、特別休暇を前提に対応すると、ユニバーサルサービスに支障をきたす恐れがある」としていましたが、この言い分にはトランスコスモス社に通じるものがあります。
SankeiBiz 2020.3.18 10:05 日本郵政が「子の休校で特別休暇」制限撤回しかし日本郵政は、3月にこれを撤回しています。加藤厚労相が、3月13日の記者会見で「年休の有無にかかわらず、労働者が(特別休暇)制度を利用できるようお願いしている」と、日本郵政の態度を問題視したことを受けての撤回でした。企業が制度を使い渋る事については、厚生労働大臣も問題視しているのです。
「小学校休業等対応助成金」制度の趣旨からいっても、「公平性」というならば、出勤した人には危険手当を、休業を余儀なくされた人には休業補償を、これが道理なのではないでしょうか。
さっぽろ青年ユニオンと、トランスコスモス社は6月23日に第一回団体交渉を行う予定です。以上の点を問いただします。札幌のトランスコスモスで働いている方、ぜひユニオンに声を寄せてください!ご支援をお願いいたします。
2020/6/14
さっぽろ青年ユニオン メール ✉この件は、個別交渉しましたが、結局小学校休校等対応助成金が法律上「会社判断で」支払うかを決められるということがくつがえせず、団体交渉では解決とはなりませんでした。
しかし、その後トランスコスモス以外の会社でも全国で、子をもつ労働者が小学校休校等対応助成金を申請しても通らないことが多々あることがわかり、首都圏青年ユニオンなどの団体とも協力し、キャンペーン「子育て緊急事態アクション」を立ち上げました。
キャンペーンが小学校休校等対応助成金の「個人申請を」の世論を大きく広げ、厚生労働省は制度の運用を変更、個人申請が実現しました。
子育て緊急事態アクションのホームページはこちら
その後、トランスコスモスに申し出た当事者は会社に再び助成金を申請し、支払われました。
2021/12/5
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