#子育て緊急事態アクション
小学校休業等対応助成金の何が問題なのか

放置された「小学校休業等対応助成金」問題 「政府都合」欠勤の補償を早急に
#子育て緊急事態アクション

1.はじめに

昨年2月、新型コロナウイルスの感染防止対策の一つとして政府は一斉休校を決めまし た。

そして休校・休園に伴い休まざるを得ない保護者の賃金を補償するために、当時の安倍晋三首相は「(一斉休校で減収の親に)新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てする」と表明し、小学校休業等対応助成金制度(以下、休校助成金)が創設されました。

しかし1年が経過しても休校助成金が使われない実態があり、予算執行率は1/4にとどまります。

いま、子育てしながら働く親たちが中心となって、休校助成金制度の改善を求めるアクションが全国に広がっています。

2.小学校休業等対応助成金とは

小学校休業等対応助成金は、臨時休校・休園となった小学校・幼稚園・保育所等に通う子の保護者が休業した場合、労働者に対し有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業に対して、国はその10 割を助成する。正規雇用・非正規雇用を問わず、労働者の所得の減少に対応するために作られた制度です。

休校助成金を活用したら、会社は負担 なく労働者に対して10 割の休業補償を行うことができる設計になっています。厚労省も「保護者が希望に応じて休暇を取得できる環境を整えていただけるようお願いします」と、積極的な活用を呼び掛けています。

厚労省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

3.活用しない会社が多発

休校助成金制度を積極的に活用した職場の労働者からは、「年次有給休暇が少なかったので、制度を使えて助かった」といった安どの声が聞かれます。その一方で、休校助成金制度を活用しない会社も多くあります。

休校助成金は総予算1719 億円のうち464 億円 しか執行されていません(1/29 時点)。休校助成金制度を活用しない会社側の理由は大きく分けて3点あります。団体交渉を進めていく際の視点とあわせて順にみていきます。

「制度を知らない」

まず、会社が「制度を知らない」という理由があげられます。本来は会社側が調べるものですが、労働組合としても制度活用の理解を粘り強く求めて活用を促します。

「出勤した職員と不公平」

その上で会社側からは、「勤務した職員と不公平」との反論があります。出勤した職員からも「仕事の負担が増えた」との声が聞かれたとも言われます。

しかしここで考えていただきたいのは、休んだ職員は好きで休んだわけではなく、政府の一斉休校によって「休まざるを得なかった」ということです。

小学校低学年の子どもや未就学児・乳幼児を家に一人残して出勤できるでしょうか。三菱UFJ リサーチ&コンサルティングの調査には、「臨時休校や、通園・通学の自粛等の間、親が通常仕事をしている日中の子どもの過ごし方」との設問があります。そこで「子どもだけですごしている」との回答は、「未就学児(3 歳~就学前)」が10%、「乳幼児(0 歳~2 歳)」は3%となっています。大多数は自分や配偶者・パートナーの 仕事を調整して過ごしています。子どもの預け先がなければ保護者が仕事を調整するしかありません。

「勤務した職員と不公平」との点については、休校助成金制度を活用したら、会社の負担なしに休んだ職員の給料は補償できます。出勤した職員の負担が増えたことを考慮するのであれば、「休まざるを得なかった」職員の給料をカットするのではなく、出勤した職員の 負担をどのように補償するかを、会社で別途検討すべきです。

「法違反ではない」

しかし組合がこのように団体交渉で提案してもこじれるときはこじれます。会社側は「これ以上は会社の制度の問題なので会社で決める」「法違反をしているわけではない」と言って態度を硬化させてしまいます。こじれるのには理由があります。休校助成金の活用は会社にとって義務ではないからです。

そもそも労働契約において欠勤の取り扱いは、「会社都合欠勤」と「自己都合欠勤」しかありません。現行の法制度で欠勤した際の休業補償は、「会社都合欠勤」にしか適用されません。雇用調整助成金や休業支援金は「会社(事業主)都合」で欠勤させた場合の休業補償です。従って、一斉休校に伴う労働者の休業は、「自己都合欠勤」となり、会社側には「自己都合欠勤」を積極的に補償する義務はありません。「自己都合欠勤」の補償を想定していない会社には、休校助成金は「考える余地なし」となります。

以上のような流れで、さっぽろ青年ユニオンでは休校助成金に活用に関して2件の団体交渉が決裂しています。コールセンター最大手の大企業は制度を十分に利用せず、休業した労働者は減収となりました。アパレル某社は制度自体を全く活用せず、休業した労働者は減収となり、子どもの習い事も断念せざるを得ない状況に追い込まれました。

4.一斉休校による休業は「政府都合欠勤」 個人申請で補償を

しかしここで、休校助成金制度がはじまった経緯を思い出してください。政府が一斉休校を決めて、安倍晋三首相は「(一斉休校で減収の親に)新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てする」と表明しました。

一斉休校に伴う労働者の休業は「自己都合」なのでしょうか。それとも「会社都合」なのでしょうか。答えはどちらでもありません。政府が決めた一斉休校に伴う休業なのだから、これは「政府都合」欠勤なのです。「政府都合」欠勤だから、既存の休業補償制度の枠にあ てはめても矛盾があり補償は一向に進みません。団体交渉もこじれてしまいます。「政府都合」欠勤なのだから、政府は早急に補償できるように対応を改めるべきです。

わたしたちは、こうした実態を踏まえて、
①会社だけに申請を委ねるのではなく、個人申 請による補償と、
②昨年2月までの遡及適用を求めています。

5.「制度のたてつけ」論とは何か?

さて、厚生労働大臣は休校助成金の個人申請化に対して、「制度のたてつけが違う」と答弁します。それでは制度のたてつけとは何かをみてみます。

休校助成金は雇用調整助成金と同様の枠組みにあります。雇用保険法が定める「雇用安定事業」の事業主に対する雇用関係助成金の中に、雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金が位置付けられています。雇用関係助成金支給要領では、冒頭の趣旨に、「一定の要件を満たした事業主又は事業主団体(以下「事業主 等という。」)に対して、必要な助成を行うものである」とあります。

要するに、「事業主に対して、助成を行う」というこ とが原則になります。従って、助成金を個人が申請するのは「制度のたてつけ」が違うとなります。

しかし、雇用調整助成金は思うように活用されず、休業して賃金カット分の補償がされない労働者の声が高まりました。政府はこうした声を受けて2020年6月12日、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」を成立させ、新たな個人給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」を創設しました。
雇用調整助成金と同じ「制度のたてつけ」の休校助成金はなぜ放置され続けているのでしょうか。
そして、そもそも「政府都合欠勤」なのだから、「制度のたてつけ」論で答弁をか わすのではなく、しっかりと手当てをするのが筋です。

6.「#子育て緊急事態宣言」アクション

休校助成金が活用されないという当事者の声は徐々に広がり、昨年の夏頃から休校助成金が活用されなかった保護者のグループを中心に、休校助成金の個人申請を求める署名や厚生労働省への要請も取り組まれました。

そして今、私たちは休校助成金制度の改善を求めるアクションに取り組んでいます。2月28日には「#子育て緊急事態宣言」というアクションをはじめます。

3月1日(月)19時~21時の時間帯にハッシュタグ「#子育て緊急事態宣言」を付けた、Twitterデモを呼びかけています。

最後にアクションの中心メンバーのスピーチを紹介します。

―「ママ、好きだった仕事オレのせいで辞めたんだよね…ごめんね。 なんか…ごめんなさい。」と言われました。
咄嗟に、「そんな事ないよ、なんでー!」と返したものの…子供からは次もし…また学校休みになったら「オレ一人で大丈夫だから!」でした。
なぜ…私は子供にこんな事を言わせてしまわなければならないのか。子供が長時間留守番できないから悪いのか、代わりに出勤した人からの不公平や自己責任…私は休めないから子供を留守番させて仕事に行った。これは私は違うと思っています。
休校や休まなきゃいけないのは子供や親の自己責任では無い。子供の個性やそれぞれの子育ての大変さは誰にも計れない。
子育てしている労働者もその子供達も、安心して希望を持って生きられるような社会になってほしい。
このまま諦めていたら、自己責任だった。子供が…自分のせいでと思ったまま。子供のせいじゃないんだよ?と子供に伝えたい。
だから、私は諦める事を辞めて立ち上がり声をあげています。子育てしながら働くと理不尽な事もあります。
でも、それと同じくらい子育てをして学ぶ事や希望も貰えます。私の声は万人の人には届かないかもしれません。でも、どこかに居る同じ思いや大変さを知っている誰か、理解や協力をしてくれる人に必ず届きます。
私達は一人ではない!わたしは今週、子どもを寝かしつけた後や仕事の合間に12時間とって、これから始めるアクションのミーティングを重ねてきました。なぜなら諦めずにみんなで声をあげることに希望を持っているからです。
私達の声を一緒に届かせましょう―
twitter
@kyuko_kyugyo
メール
emergency.in.childcare@gmail.com

#子育て緊急事態宣言HPトップ
http://sapporo-seinen-u.upper.jp/ec/index.php

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