①労働者本人が都道府県労働局に電話相談
②労働局が会社に助成金活用の働きかけをしたが、会社が応じない
③仕事を休み、通常通りの賃金が支払われていない部分がある
④会社に証明書類の提出について協力が得られること
新型コロナウイルス感染症の影響で、小学校や保育園が休校・休園となり、保護者が仕事を休まざるを得ない場合、給料を保障するために「小学校休業等対応助成金」が創設されました。しかし、申請するかしないかは会社に任されていたため、“使い渋り”が横行しました。こうした事態に対して、全国で声があがり3月26日、会社任せではなく、本人が直接申請できる仕組みがスタートしました。
厚生労働省雇用環境・均等局のオフィシャルな解説は以下の通りです。
ー昨年2月に一斉休校の要請を政府としていたしました関係で、予定外の時期に小さなお子さんが自宅にいらして出勤できないという問題が生じました。これに対して、会社から有給の特別休暇を付与していただけるように、費用の10割を助成するという助成金を新設をいたしました。[略]3月19日時点で21万件くらいの利用が進んではいるのですが、申請の事務負担などといったことが嫌われまして、一部にどうしても使っていただけないケースが生じました。昨年の秋に労働局に特別相談窓口を作って、企業に直接働きかけるということを行いました。働きかけると7割ぐらいの会社は「分かりました、やってみましょう」と言ってくださる、そういう方向に向かうのですが、3割ぐらいはどうしても「法律上義務ではないし、やりません」という会社がありますので、どうしても会社に助成金を使っていただけない場合は本人が直接申請できるという仕組みを、3月26日にスタートしたばかりでございます
さて、ようやく実現した直接申請。「法律上義務でないし、やりません」という会社で働いていたAさん。直接申請はかなり大変そうでした。 「まずは申請書類の作成」と、厚生労働省のホームページ上を探しますが、なかなかたどり着けません。やっと探し当てたところ、記入の仕方が難しく解釈に悩む部分が多々ありました。2時間ほどかかり書類は完成し、労働局に郵送しました。
1週間後、労働局から電話連絡が。電話口では「まずは労働局から会社に働きかけをしたうえで申請書の提出になります」との案内があり、そして気になるのは「会社がオッケーしなければ直接申請はできませんので」と一言。一度、電話を切り、再度労働局から「会社はオッケーでした」との連絡がありました。書類は一度返送され、若干の書き直しをして提出完了の見通しとなりました。
これらの経過を踏まえて、問題点は2つあると思います。
1つ目は、プロセスがわかりにくいということです。書類をつくる前に、まずは労働局の特別相談窓口につながる必要がありました。
手順はざっくりと以下の通りです。
①労働者本人が都道府県労働局に電話相談
②労働局が会社に助成金活用の働きかけをしたが、会社が応じない
③仕事を休み、通常通りの賃金が支払われていない部分がある
④会社に証明書類の提出について協力が得られること
そして2つ目が大問題です。
労働局が電話口で話していた、「会社がオッケーしなければ直接申請はできませんので」とのコメントです。これは、直接申請ができるようになった経過からみて不条理すぎます。結局、会社任せになり、これでは何も変わりません。
いま全国的に、新型コロナウイルス感染症が拡大しています。感染症拡大防止のためにも、国の制度として休業補償の拡充が求められます。